国会ウォッチ!

知ってるようで意外と知らない。そんな国会の様子をレポートします。

国会議員の給料について

先月、第193回国会が閉会した後、現在は内閣委員会と文部科学委員会が、衆議院参議院それぞれで閉会中審査という形で開催されています。

 

そこで素朴な疑問。

「閉会中審査に出ている国会議員の給料はどうなっているのか?」

 

国会議員の給料は「歳費」と言います。

歳費については、まず憲法第49条で「両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける」と、支給される根拠が定められています。

そして、この「法律の定めるところにより」を補強する意味で、

国会法

国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律

国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」の第13条に基づき両議院の議長が協議して定める「国会議員の歳費、旅費及び手当等支給規程」

が定められています。

 

現在国会議員の歳費の額は国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」の第1条で

各議院の議長は二百十七万円を、副議長は百五十八万四千円を、議員は百二十九万四千円を、それぞれ歳費月額として受ける。」

と定められています。

この金額については、その時その時の時勢や一般公務員の給与などと比較して調整が行われます。

もっとも自分たちの給料の額を自分たちで決めるという仕組みですから、お手盛りになる恐れは常にあります。

 

さて今回気になった「閉会中審査での国会議員の歳費はどうなるのか?」ですが、結論から言うと・・・

 

閉会中だろうがなんだろうが、毎月歳費は支払われます。

そう!実際に国会に出ていなくても、国会議員である間は、毎月歳費が支払われる仕組みなんです。

ですから、秘書に暴言吐いたのがバレて、病院に「入院中」であっても、浦和レッズにケンカを売って炎上する以外、仕事をしているのかどうか分からない状況であっても、毎月歳費が支給されます。

 

これは建前として「国会議員は、国会の外においても国政に関する様々な調査や研究などの活動をしなければならないから」という理由からです。

 

なんか納得いかん!と言いたくなるような状況ですが、そもそも国会議員がしっかり国政に取り組んでいれば、こんな話は出てこないわけです。

 

やはり選挙で投票するのは、安直ではいけないということですね。

 

6月19日に第193回国会が閉会してから、次回の第194回国会が開会するまでの間、制度上は国会はお休みの状態が続きます。

 

とはいえ、テレビでは連日のように「加計学園問題」を巡って国会で審議が行われています。

これは「閉会中審査」と呼ばれるもので、各議院の常任委員会と特別委員会は、その議院の議決があれば閉会中でも審査を行うことができます。

元々は、自民党が乗り気でなかったので行われる予定ではありませんでしたが、文部科学省の前川前次官の証言などで、さすがに世論が抑えきれなくなったため、急遽実現することになったわけです。

今回の閉会中審査は、内閣委員会と文部科学委員会という、もっともこの問題とか分かりの深い委員会の連合審査会という形になっています。

 

その内容は、日々のニュースで紹介されていますので、今回はそれ以外の閉会中審査の様子をご紹介します。

 

審査されている内容は、大まかに分けて

・平成二十六年度、二十七年度の一般会計・特別会計予算やNHK予算などの決算報告の審査

・第193回国会で採決されず、継続審議となった各種法案

となります。

また審査とは別ですが、第193回国会の会期中に回答できなかった質問主意書への回答も同時に進められています。

 

この内、継続審議となっている各種法案を見ると、ほとんどが衆議院または参議院の議員が提出した法案です。

国会の会期中は、どうしても内閣提出の法案の審議が優先されるためか、議員提出の法案は、だいたい継続審議の憂き目を見ることが多いようです。

 

しかし、本来国会とは議員たちが必要な法律を考えて審議する場です。

その主役であるはずの議員が考えた法案が、こうした日陰の扱いを受けるのは、残念なことと思うのは、私だけでしょうか?

 

 

第193回国会が閉会しました

私用でドタバタしていたため、すっかり6月の更新が疎かになってしまいました。

 

そうしている内に、第193回国会は6月18日(日)をもって閉会しました。

 

今国会では、「森友学園」問題や「加計学園」問題など、いろいろと安倍政権の疑惑が持ち上がったこともあり、メディアの国会報道もほとんど疑惑追及に集中してしまいました。

その一方で、注目の法案も賛否巻き起こる中で、与党にによる賛成多数で成立していきました。

第189回国会で提出されて以来、継続審議となっていた「民法の一部を改正する法律案

性犯罪への厳罰化を盛り込んだ「刑法の一部を改正する法律案

そして「共謀罪」として話題になった「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案

来年末に、一つの時代の終わるを告げることになる「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案

 

他にも今国会では、内閣提出の法案が66も審議され、最終的に2つが衆議院での閉会中審査となった以外は、すべて成立しました。

 

一方で、衆議院参議院の各議員が提出した議員立法では、会期中の成立に至らず「審議未了」事実上の廃案となった法案が多数に上りました。

特に参議院では、提出された110の議員立法の内、撤回された一つを除いて、全て審議未了で廃案となってしまいました。

 

そもそも国会とは、国会議員たちが自ら法律を立案し、審議を経て可否を決めることで民主主義を担保する機関であります。

しかしながら、実態は内閣提出の法案が優先的に審議・採決されています。

内閣提出とはつまり、個々の大臣が所属する省庁が提出した法案であり、官僚たちがすべてお膳立てしたものです。

膨大な量に上る国家の行政ルールの作成を、それぞれの専門家である官僚にある程度ゆだねるのは、現実的な問題としてやむを得ないところではあります。

 

しかし、提案された法案に重大な不備が無いか、しっかりチェックすることは国会の最低限の責務であります。

何事も官邸主導で物事が決められるという昨今、今こそ「良識の府」としての国会の役割は重要になっています。

 

安定した社会の実現のために、国会議員たちの責任は決して軽いものではありません。

閉会後も、一部の法案は衆議院で審査されることになっていますので、このブログでもそうした動きを引き続きチェックしていきたいと思います。

 

環境問題に関する法案が審議されました

19日(金)に開催された衆議院の環境委員会で、以下の3法案が審議の末、採決されました。

www.env.go.jp

www.meti.go.jp

www.env.go.jp

 

一つ目の「廃棄物の・・・」は、相変わらず多発する産業廃棄物の不正処理に対応するために、廃棄物処理業者の不正を防ぐための取り締まりを強化する改正案です。

 

二つ目の「特定有害廃棄物等の・・・」は、「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」を遵守するための法律です。

平成4年に成立してから25年経過して、国際情勢の様々な変化に対応するために、取り締まりを強化すべきは強化する一方、書類手続きなどが煩雑すぎる点については、緩和すべきところは緩和するというのが、今回の改正案の趣旨です。

 

三つ目の「福島地方環境事務所の・・・」は、環境省の地方環境事務所を福島県にも設置しようという事案について、国会の承認を得ようというものです。

 

現在、福島県には「福島環境再生事務所」という組織があります。

この「福島環境再生事務所」の主要な業務は、福島第一原発事故で汚染された地区を除染することです。

この「再生事務所」というのは、環境省の組織上は「支所」という扱いなのですが、これを「支局」という扱いに格上げすることで、福島の復興を強力に進めていこうというのが、今回の承認申請の趣旨です。

 

審議の結果、「廃棄物の・・・」と「特定有害廃棄物等の・・・」については、全会一致で採決されましたが、「福島地方環境事務所の・・・」については、日本共産党のみが提案内容の一部に異議があるということで反対したため、全会一致の採決とはなりませんでした。

 

日本共産党が問題視したのは、福島地方環境事務所への出向職員の任期が、3年間と区切られている職員が多いという点で、いつ終わるか分からない事業なのに期限を区切るのは、いかがなものか?というわけです。

 

期限を区切る、という点については、任期が長くなることで除染業者との癒着が起きる恐れがあるというのが理由の一つであります。

実際この3月に、汚職事件が摘発されています。

www.sankei.com

 

まあ、こうした事件が起こると一理あるとは思うのですが、期限を区切っても不正を働く人間は、やはりやるのではという気もするので、権限の大きい職員以外は、無理に任期を設けなくてもいいのでは、という気もします。

 

なんにせよ、この後、衆議院本会議を経て、参議院でも審議されて成立するでしょうが、実際に業務に従事する職員には、自分の職分をわきまえてしっかり仕事をしていただきたいものです。

 

 

 

 

20年近く放置されていた不思議

5月17日(水)に開催された衆議院国土交通委員会で、こちらの法案が採決されました。

www.mlit.go.jp

この法案、主眼は外国からのクルーズ船の増加に対応するべく、官民が連携してクルーズ船を受け入れられる港を整備していこうというものなのですが、私が気になったのは、もう一つの改正内容の「非常災害時における国土交通大臣による円滑な港湾施設の管理制度の創設」です。

 

法案を提出した国土交通省の説明によると、この非常災害時の新しい制度を設けるきっかけになったのは、

熊本地震の発生後、通常の貨物船に加え、自衛隊海上保安庁等の支援船舶が集中したことにより、港 湾が過度に混雑し、港湾利用者との円滑な調整等 に支障」が出たのがきっかけだそうです。

で、「 切迫性が指摘される南海トラフ地震等の大規模災害 に備え、非常災害時における港湾利用者との調整 等を円滑に実施するための仕組みが必要」ということで、今回の法改正に盛り込まれたとのこと。

 

この国土交通省の説明を読んだ時の私の率直な感想が、

「今頃、何を言ってやがる!」

です。

 

ここ20年近くの間だけでも、阪神・淡路大震災に始まり、東日本大震災まで、大規模災害がどれだけ起こっていたか、子供でも知っている話です。

当然、同じような問題は、災害発生の都度、起こっていたわけで、もし本当に国土交通省熊本地震で初めて気づかされたというなら、その危機意識を疑わずにはいられません。

 

案の定というか、委員会でも質疑に立った議員から、今までこの制度が無かったことへの疑問がぶつけられています。

これに対する国土交通省の答弁は、大まかに言うと

「港湾の運営は、地方自治体などの地域の自主性に任せるというのが港湾法の基本方針だったから」

という、言い訳にもなっていないような内容でした。

 

まあ無いよりはあった方がいい制度には違いないので、これが来たるべき災害の発生時に役にたつことを期待したいですが、当たり前だと思っていたことが出来ていないということが往々にして存在するという事実に、うすら寒いものを感じた一件でした。

 

中小企業のための重要な法案です

共謀罪やら、加計学園やらで国会は大荒れの様子ですが、その陰で非常に大切な法案の審議が、衆議院経済産業委員会で行われています。

それが、こちら

www.meti.go.jp

日本の屋台骨を支えているのは、一握りの大企業ではなく、日本の全企業の90%以上を占めると言われている中小企業です。

そんな中小企業は、資本が大きくないだけに何か投資をしたくても簡単にはいきません。

銀行は絶対に損をしないように、徹底的に担保を要求してきますので、「中小企業の発展」には何の役にも立ちません。

また大規模災害が相次ぐ昨今、中小企業がひとたび甚大な被害を被れば、復旧するのは至難の業です。

 

そこで非常時のセーフティーネットの確保や、事実上の公的金融機関である信用保証協会による中小企業への資金援助など、中小企業の経営安定のために必要な法改正をするのが、現在審議中の法案です。

 

この法案で、中小企業の経営がどこまで安定できるかは、最終的には個々の企業の努力に帰するわけですが、能力のある中小企業が制度の問題で、みすみす消えていくということが無いように、ある程度の公的支援はやはり必要です。

 

センセーショナルな法案ではありませんが、こういう法律が世の中を支える本当の力になってくれるのです。

脱税は国境を越えても逃さない!というわけで・・・

前回は、衆議院の外交委員会で審議された、社会保障に関する国際協定について紹介しましたが、参議院でも似たような協定が審議されています。

それは、

・所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とスロベニア共和国との間の条約

・所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とベルギー王国との間の条約

・所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とラトビア共和国との間の条約

・所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とオーストリア共和国との間の条約

・脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得についての課税権の配分に関する日本国政府とバハマ国政府との間の協定を改正する議定書

 

どれも課税に関するルールを対象国との間で取り決めておこうという条約ですが、その真の狙いは条約の表題中にもある通り「脱税対策」です。

バハマとの協定を改正する議定書なんて、明確に「脱税の防止」と銘打っています。

 

昨今話題の「タックスヘイブン」の問題に代表されるように、それぞれの国の課税制度の違いを利用して税金逃れをしようという動きは、もはや世界中の国にとって死活問題と言えるほど重大なテーマになっています。

本来はある程度、国際的な機関がこうした問題に対処できる仕組みを取りまとめた方がいいのでしょうが、前回の社会保障と同じく、国の数だけ制度の種類も多岐に渡り、一律にルールを決めるのは、なかなか難しいのが現実です。

 

こうした条例を地道に結んでいくことで、時間はかかりますが、しっかりと対応するしかないんですね。

※ちなみに「タックスヘイブン」で話題になったケイマン諸島とは、すでに条約を結んでいるそうです。

脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得についての課税権の配分に関する日本政府とケイマン諸島政府との間の協定