会議は踊る・・・
ちょっと更新が疎かになっていました。
ところで、平成二十九年度予算案を受け取った参議院予算委員会では、相変わらず「森友学園問題」が議題の中心になっています。
もう予算の内容なんて、誰も興味を持っていないような状況ですが、こういうドタバタの中で、意外と重要な法案があっさり成立していくんでしょうね。
先週に入って、それまで目立った動きのなかった衆議院の各委員会も、ようやくそれぞれの管轄する法案の審議に入ったようです。
まずは先のブログで紹介しました農業に関する3つの法案。
こちらは3月8日の農林水産委員会で審議が始まりました。
国土交通委員会では2月3日に提出されていた「海上運送法及び船員法の一部を改正する法律案」の審議がひと月近くもたって、ようやく始まりました。
法務委員会では、今国会での提出が微妙になってきている「組織犯罪処罰法」回線案の「テロ等準備罪」の内容についての審議が始まりました。
こちらは先に予算委員会で金田法務大臣が吊し上げられる原因となった法案ですが、ようやく金田法務大臣の希望通り、法務委員会で審議されることになったわけです。
もっとも大臣の方は、予算委員会の時と変わらず「まだ提出もしていないので何とも言えない」という答弁に終始しているようですが・・・
文部科学委員会では、「義務教育諸学校等の体制の充実及び運営の改善を図るための公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案」についての審議が始まった・・・と言いたいところですが、こちらも文部官僚の天下り問題や「森友学園問題」が話題の中心になってします。
どちらも世間の関心が高い重大なことですが、肝心の法案の精査もお忘れなく。
厚生労働委員会も似たような状況で、「雇用保険法等の一部を改正する法律案」についての審議よりも「森友学園問題」が話題になってしまっています。
経済産業委員会では、特定の法律の審議はなく、経済政策全般についての質疑が中心となっています。
安全保障委員会では「駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案」の審議が始まりましたが、質疑の内容は、やはり北朝鮮の動静や南スーダンPKOの問題に集中しているようです。
そして他の委員会と比べて比較的早くから活動をしていた総務委員会。
こちらは、世間の騒動とは一線を引いた形で、地方自治に関する審議を黙々と続けています。
今日、3月14日には、委員会起草の法案として「過疎地域自立促進特別措置法の一部を改正する法律案」を国会に提出することになったそうです。
政府・与野党全員一致での法案らしいので、近々本会議で成立するものと思われます。
JA解体の序章?
昨日の記事で、政府提出法案がまだ29ほど手付かずで残っていると紹介しましたが、あらためてその内容を見ていくと、ある事に気がつきました。
それは・・・、農業関連の法案が多いこと。
土地改良法等の一部を改正する法律案
農村地域工業等導入促進法の一部を改正する法律案
遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律の一部を改正する法律案
農林物資の規格化等に関する法律及び独立行政法人農林水産消費安全技術センター法の一部を改正する法律案
実は、これらの法案、昨年11月に内閣府の「農林水産業・地域の活力創造本部」がまとめた日本農業の改革案を具体化するためのものなんです。
もともとはTPPの発行を踏まえて日本の農業生産力を強化しようという趣旨でしたが、トランプ政権の誕生で事実上TPPがご破算になったにもかかわらず、政府がこの法案を提出するのはなぜか?
公式には「TPPの有無にかかわらず日本農業の国際競争力を高めないといけない」ということですが、その実態は昨年頻繁に報道されていた通り、JAの政治力を弱めることにあるのは間違いありません。
自由民主党にとっての大票田であるJAは、本来もっとも敵に回してはいけない組織ですが、グローバル経済という立場で見た場合、政府にとってその存在が目障りになっていたのは事実です。
上記の法案では「農業の競争力の強化」という名目で、それまでJA経由で購入することがほとんどだった農機具や種苗などの購入を自由化したり、農地の流動性を高めるための仕組みづくりなど、今までJAを通さないと話が進まなかったことを全て無力化しようという意思が見えます。
昨年の「農林水産業・地域の活力創造本部」での会議で、世間的にはすっかり悪役になってしまったJAですが、小規模農家が多い日本の農業において大きな役割を果たしてきたのも事実です。
しかし「JA職員を食べさせるために農業をやっている」などと揶揄されるほど肥大化して典型的な官僚組織となってしまったのも、また事実。
アメリカやオーストラリアと違い、国土面積に限りがある日本で、同じようなスタイルの農業を行うのは無理があります。
いささか感情的な対立となっている政府とJAの関係ですが、日本農業の将来のために本当に必要なことは何なのか?
それを冷静に見極めるためにも、国会が間に立ってしっかりと審議してもらいたいですね。
参議院で先議している法案について
衆議院での平成二十九年度予算案の可決を受けて、28日(火)から参議院の予算委員会でも審議が始まりましたが、その内容はほぼほぼ安倍総理大臣と森友学園の関係についての質疑ばかり。
もはや予算など何処へやらという感じですが、その一方で参議院で先議が始まった法律案が2つあります。
それがこちら。
農林物資の規格化等に関する法律及び独立行政法人農林水産消費安全技術センター法の一部を改正する法律案
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案
本来法律案は、衆議院が先に審議するのですが、そうすると衆議院が法律案を可決するまで参議院は、ほとんど「ヒマ」な状態になります。
会期中の国会議員の給与は審議の有無にかかかわらず発生しますから、そうなると参議院議員を遊ばせておくことになってしまいます。
そこで、法律案によっては参議院に先に審議させることもあるのです。
とはいえ、上記法律案はどちらも昨日国会に提出されたばかりなので、審議を始めている委員会はまだどこにもありません。
内容から言って、「農林物資の規格化等に関する法律及び独立行政法人農林水産消費安全技術センター法の一部を改正する法律案」は農林水産委員会。
「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案」は、厚生労働委員会で審議されると思われます。
一方の衆議院も、予算案が可決したとはいえ、未だ今国会への政府提出案だけで、3月1日(水)現在、29もの法律案が審議を待っている状況です。
国会の開会直後に開会式程度の議事しかしていない委員会も多いようですので、しっかり審議して国政に活かしてほしいものです。
衆議院で平成二十九年度予算案が可決されました
昨日27日(月)の夕方、衆議院本会議が開催され、平成二十九年度予算案(一般会計・特別会計・政府関係機関予算)が可決されました。
その前哨戦となる予算委員会では、終盤はもっぱら「森友学園問題」が中心になり、予算の審議だか何だか分からない展開でしたが、個人的にはこういう不審な点を問いただす場は、別に委員会を設けた方がじっくり時間もかけることが出来ていいんじゃないかと思っています。
さて予算案が可決されると同時に、実はあと三つ重要な法案が可決されましたが、こちらはあまりメディアでも報じられていないのではないでしょうか。
一つは、地方税法及び航空機燃料譲与税法の一部を改正する法律案。
二つ目は地方交付税法等の一部を改正する法律案です。
そして最後に、所得税法等の一部を改正する等の法律案
上二つは衆議院総務委員会で、最後の所得税の改正法案は財政金融委員会で、地味に審議されていました。
過去の記事でも紹介しましたが、この3つの法案は、基本的には配偶者控除の見直しと
それに伴う税収減の補てん策、そして地方税の財源不足への対応策が盛り込まれています。
とは言え、上記3つの法案には、現在分の具体的な補てん策が盛り込まれていないので、結局のところは臨時財政対策債の発行や、先に可決した平成二十八年度補正予算などで埋め合わせるという付け焼刃な対応に終始することになるようです。
本当は、こういう事態を何とかするために予算委員会があるはずなんですけどねぇ。
今日から参議院の予算委員会が始まりますが、中心となる話題は相変わらず安倍総理大臣の森友学園に対する口利き疑惑。
こういうことは特別委員会を作って審議した方がいいと思うんですが、特別委員会は国会の決議を経て初めて設けることが出来る仕組みなので、与党が反対に回ったら出来ないんですよね。
こういう政治家絡みのトラブルは頻繁に起こっているので、いっそのこと「政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会」とかを常任委員会にした方がいいんじゃないかと思う次第です。
財政金融委員会で、今静かに話題になっている事案について、静かに追及がありました
今週に入ってから国会ではあまり目立った動きは無いようですが、常任委員会が少しずつ動き始めたようです。
そんな中で今回注目したのが、2月15日(水)に開催された財政金融委員会。
金正男氏暗殺や石原元都知事の証人喚問やらのニュースの陰に隠れていますが、
元々は豊中市議会の木村真議員が近畿財務局に情報公開請求をしたのがきっかけでしたが、当時はあまり大手メディアでは取り上げられていませんでした。
ところが非公開決定をした近畿財務局が「よけいな詮索をされたくない」と公開した結果、かえって話がややこしくなったという次第。
この問題については20日(月)の予算委員会での追及が報じられていましたが、実は15日(水)の財政金融委員会でも、すでに日本共産党の宮本岳志議員が質問していました。
この時のやり取りは、まだ会議録になっていませんが、日本共産党の機関誌である「赤旗」で記事になっています。
森友学園への国有地売却 8億円値引き 口実崩壊/埋設ゴミ処理 未確認/宮本岳志議員 理事長の参考人招致要求/衆院委
森友学園というところは、なんでも「愛国教育」を掲げて、戦前のような教育をしているそうです。
まあ、それ自体は個人の信条の問題ですし、教える方も学ぶ方も同意の上ですから、どうこう言う話はちょっと違うと思います。
しかし、時の権力者の「口利き」で、何らかの不正が行われたとしたら、これは話が別です。
トランプ大統領との会談も無事終えて、絶頂ともいえる状況の安倍総理大臣ですが、ひょっとすると思わぬところで足をすくわれるかもしれませんね。
この件は、さすがに野党も「絶好のネタ」と思っているようなので、審議の経過に注目していこうと思います。
こういうのも仕事のうちなんですねぇ・・・
予算委員会以外の各委員会は、開催したりしなかったりと、何を基準に活動しているのか今一つよく分かりませんが、こうした純粋な審議以外に「こんなこともするの?」という活動もしています。
それがこちら。
2016年ノーベル生理学・医学賞を授与された東京工業大学栄誉教授の大隅良典さんをお迎えして、表彰とお祝いをしたそうです。
同じことは、参議院でも行われたそうで、
ノーベル賞受賞者に対する祝意表明(平成29年2月14日):参議院
大隈先生もいろいろ呼び出されて大変ですね。
しかし・・・、
これって、いる?
他にも、こういう行事もありました。
まあまあ、こういうのは「アリ」でしょうね。
また「暇そうな」参議院では、15日(水)に本会議が開催されて、安倍総理大臣の訪米報告が行われたそうです。
面白いことに、衆議院では翌日に本会議が開催されているのに、この報告がありませんでした。
まあ、予算委員会で聞かれるだろうから、わざわざ衆議院でやる必要はない、ということなんでしょうか?
各委員会が始動し始めました
安倍総理大臣の訪米が無事終了したと思ったら、北朝鮮のミサイル発射、さらには金正男氏の暗殺と、世界情勢は相変わらず予測不能な状況が続いています。
翻って我が国会の動向をみると、14日(火)から、予算委員会以外の各常任委員会が、いよいよ動き始めたようです。
まず14日(火)から始まったのが
・総務委員会
・財政金融委員会
総務委員会は、厳密には平成二十八年度補正予算の審議のために国会の開会直後に開かれていますので、今回で2回目となります。
今回、議題となったのは、
・放送法の一部を改正する法律案
・行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律案
・日本放送協会(NHK)の平成二十四年から二十七年度までの、財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書
・行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件
・地方自治及び地方税財政に関する件
・情報通信及び電波に関する件
・郵政事業に関する件
・消防に関する件
となっています。
財政金融委員会では
・国政調査承認要求に関する件
・国及び地方公共団体の責任ある財政運営の確保を図るための財政の健全化の推進に関する法律案
・格差是正及び経済成長のために講ずべき税制上の措置等に関する法律案
・消費税率の引上げの期日の延期及び給付付き税額控除の導入等に関する法律案
が議題となっています。
農林水産委員会では
・国政調査承認要求に関する件
・農業者戸別所得補償法案
・農地・水等共同活動の促進に関する法律案
・中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する法律
・環境保全型農業の促進を図るための交付金の交付に関する法律案
・国有林野事業に従事する職員の労働関係を円滑に調整するための行政執行法人の労働関係に関する法律の一部を改正する法律案
他の委員会と比べると、法案の審議が大部分を占めているようです。
ここに紹介した法案は、すべて民進党の岸本周平議員を中心とする5名の衆議院議員が、第189回国会で提出したもので、今国会まで継続審議となっていました。
内容を見ると、農林業従事者の所得補償を主眼としたものが多いようです。
法案を提出した岸本議員の地元は和歌山県。
和歌山県は、今回提出されている法案が対象とする中山間地域の農業や林業が第1次産業の大部分を占めています。
この辺りも、今回の法案が提出された事情と関係があるかもしれませんね。