国会ウォッチ!

知ってるようで意外と知らない。そんな国会の様子をレポートします。

地味ですが大切な協定のお話

久々の更新となりますが、ちょっと面白い審議を見つけたので、今回はそのお話を。

 

5月12日(金)に開催された衆議院の外務委員会で、次のような協定についての審議が行われていました。

・社会保障に関する日本国とスロバキア共和国との間の協定

・社会保障に関する日本国とチェコ共和国との間の協定を改正する議定書

 なんのこっちゃという感じのする協定ですが、実はこれ、海外に住む日本人にとっては非常に重要な協定なんです。

 

この協定で対象となるのは、主に日本の各種年金の支給に関するルールです。

仕事などで海外に住んでいる日本人は、その滞在期間中の各種年金の加入状況によって、後日年金が受け取れないなどのトラブルに見舞われる可能性があります。

そこで相手国での滞在期間(具体的には5年を目安)に応じて年金の加入状況を判断し、場合によっては相手国側の社会保障制度による年金などの受給が可能になるように、社会保障制度を主管する厚生労働省が各国との間で協議をした上で、条件の整った国との間で協定を結んでいるわけです。

 

現時点で協定を締結しているのは

となっています。

今回は、新たにスロバキアが対象となる他、チェコについて一部改正が発生したため、その更新を求めて国会に提出されているわけです。

 

世界にある国の数を思えば、まだまだ少ないのが実情ですが、国際化で多くの日本人が聞いたこともないような国に住むことも珍しくなくなった昨今、こうした協定が少しでも多く締結されていくことが大事ですね。

情報監視審査会の平成28年年次報告書が発表されました

少し古い話ですが、3月39日(水)に、衆議院の情報監視審査会が、平成28年年次報告書を発表しました。

平成28年年次報告書

これは、以前このブログで紹介しました、「特定秘密の保護に関する法律」で指定された秘密について、公開すべきかどうか審議する審査会の活動を報告するものです。

先のブログでもふれたとおり、この審査会では、おおまかな審議内容すら非公開となっているため、一体どんなことが、どんな理由で非公開になったのか、審査会に参加した国会議員以外はまるで分らないという問題がありました。

そこで昨年度から年度末に、一年間の活動内容を報告する書類を公開することで、批判に応えようとしたわけです。

 

今回も、個々の「特定秘密」については一切触れていませんが、平成27年12月31日現在「特定秘密」に指定されている文書や情報、全443件の内、

・具体的な「秘密」が書かれた文書が存在しない「特定秘密」

・作成から30年以上経過している「特定秘密」の文書

について、その必要性を審議した結果、9件について「特定秘密」指定を解除されたそうです。

また引き続き「特定秘密」となった文書についても、文書や情報の保管の在り方、特に「文書の不存在」について審査基準を厳格化していくことなどが報告されています。

 

この法律が出来た時は、もっと多くの文書が「特定秘密」になるのではと心配されましたが、意外にも400件くらいしか指定されていないのは、ちょっと驚きでした。

もっとも、安全保障以外で国民の知らないことが多いというのは、やはり民主主義国家としては健全とは言えないと思いますので、審査会には今後もしっかりと役割を果たしてほしいものです。

何をしてるの?

森友学園問題が下火になってきたと思ったら、今度は北朝鮮問題と思い切りスケールの大きな問題が持ち上がったりと、第193回国会の開会から忙しなく動いている感のある国会ですが・・・

 

実は、全く活動をしていない常任委員会が二つあるんです。

それが、

衆議院国家基本政策委員会参議院行政監視委員会の二つです。

この両委員会、国会が開会して以来、まったく活動をしていません。

他の委員会が、特に目立った活動をしていないまでも、理事の選任など何かしら集まっているのに対して、本当~に何もしていないのです。

 

よく見ると、この二つの委員会は、それ以前の会期でも、2、3回開催された以外は、ほとんど活動実績がありません。

 

その理由を色々考えてみたのですが、過去の議事録等見ていると、どうも予算委員会など他に委員会とやってることが重複気味なのが原因かもしれません。

例えば国家基本政策委員会は、その名の通り国の方針を協議するための委員会で、テレビでよく見かける「党首討論」をやる委員会です。

でも党首討論って、結局のところ、イギリスの国会をまねただけのパフォーマンスにとどまっている傾向があり、実質的な国政についての審議は、ほとんど予算委員会でやってしまっているんですね。

そんなわけで、めったに開催されない委員会になってしまっているのですが、これこそ「無駄」というべき代物かもしれません。

 

参議院行政監視委員会も同じようなもので、「行政全般の評価・監視を行う」のが目的なのですが、これって結局、他の各委員会で間に合っていることなんですね。

 

じゃあ、なんでそんな必要性の低い委員会が常任委員会として存在するのか?

 

個人的な邪推ですが、既存の委員会だけではすべての国会議員を割り振ることが出来ないので、全国会議員が何らかの委員会に所属している形をとるために、わざわざ増やしたんじゃないかと・・・

 

もしそうなら、「行政の無駄」をチェックするどころか、立法府がとんだ無駄を作っていることになるわけですが・・・

民法、120年ぶりの大改正!

昨日、非常に重要な法案が、衆議院法務委員会で地味~に可決しました。

www.sankei.com

そう!我々の生活に密着した法律「民法」が、実に120年ぶりの大改正が行われるのです。

 

もちろん、これまでにも民法の改正はありましたが、女性の再婚禁止期間の短縮など改正を急ぐ事情がある時などに、チマチマと改正されていました。

しかし、日本の民法が明治29年に成立してから今日に至るまでの間、様々な判例が登場するにつれて、これまであやふやのままになっていた部分を判例に基づいて一気に改正しようということになったのです。

それが、

民法の一部を改正する法律案

民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案

の2法案です。

 

実はこの法案、昨年の第189回国会で提出されていたのですが、「平和安全法制整備法案及び国際平和支援法案」いわゆる「安保法案」が揉めに揉めた影響もあって、今国会まで持ち越しになっていたんです。

 

過去の判例に基づいた改正なので、判例がある以上既存の裁判に大きな影響を与えることもないと急がなかったのかもしれませんが、われわれの暮らしに影響を与える「契約」にまつわる改正が中心となっているだけに、衆議院で可決するまでだけで一年も先送りになっていたのは、あまり頂けない話です。

 

この後は、今日13日に開かれる衆議院本会議での可決を経て、次は参議院の法務委員会で審議の上、最後は参議院本会議での可決・成立となる見通しです。

 

地味ですが、重要な改正ですので、ぜひ一度変更内容を確認していただければと思います。

 

 

実はしっかり働いている参議院

3月いっぱい世間を賑わせた「森友学園問題」も、いつの間にやら下火になって、気がつけば籠池元理事長個人への刑事告訴云々という話に落ち着いてきている今日この頃。

結局、8億円近い国有地の値下げの真相はうやむやのままで終わりそうな雲行きで、このままでいいのかと思ってしまいます。

 

ところで当ブログでは、ついつい衆議院の動向ばかり紹介してしまっていました。

これについて言い訳をさせてもらうなら、当ブログの記事引用元として利用している衆議院のホームページの方が、参議院のホームページよりも、法案や審議の進行状況のチェックが分かりやすいという事情があります。

 

とは言え、やはり「言い訳」には違いないので、参議院の動向を改めてチェックしてみたところ、なんと今国会だけで今日までに103もの法案が参議院議員立法として提出・審議されていました。

それをいちいち紹介するのは大変なので、詳しくは下記のリンクからご覧いただきたいと思います。

参議院議員提出法律案の一覧

 

前にも紹介しましたが、参議院は原則、衆議院の後で法案の審議をしますので、衆議院で法案が可決しないと、やることがありません。

そこで時間を無駄にしないためにも、参議院議員の法案提出権を最大限に活かすべく、自分たちが作った法案を衆議院に先立って審議するわけです。

もっとも法案の成立については憲法にも「衆議院の優越」が規定されていますので、たとえ参議院が先に審議して可決しても、衆議院で「NO!」と言われたら、それまでです。

 

そのせいか、参議院で提出・審議される議員立法は、基本的に与野党が対立して成立に苦労しそうな法案というのは、あまりありません。

中には明らかに意見が対立しそうな法案や「そんな法案、必要か?」と言いたくなるような法案もありますが、そもそもそんな法案を出すこと自体、本気で法案成立を狙うというより「何もしてないのは具合が悪い」のでアリバイ作りのために提出・審議しているんじゃないかと思えます。

 

とは言え、日常で感じる法律の不具合をきちんと直してくれるのであれば、そういう法案はもちろん大歓迎なので、参議院議員の皆さんにもしっかり頑張っていただきたいですね。

 

3月後半の各委員会の動向

このブログの主旨は、メディアがあまり取り上げない国会の動きを紹介するということですので、本日は「森友学園問題」で熱くなっている委員会は脇に置いて、それ以外の委員会が地道に活動している状況を紹介します。

 

まずは衆議院の法務委員会。

こちらは話題の「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」が21日(火)に提出されましたが、現在のところは裁判所法の一部を改正する法律案」と「裁判所職員定員法の一部を改正する法律案」が審議の対象になっています。

この法案の眼目は、先日の記事でも紹介しました「司法修習生の研修期間中の報酬」に関する改正です。

21日(火)と22日(水)は、金田法務大臣をはじめとする法務省中枢が出席して、司法制度全体の見直しについて議論が行われました。

 

もっとも金田法務大臣の「やる気ねぇ~」オーラ全開の答弁は、見ているだけで不快になりますが・・・

24日(金)には、元東京地検検事で企業のコンプライアンス問題などで有名な郷原信郎弁護士をはじめとする3名の参考人を招いての質疑が行われました。

新司法制度になってから、司法関係者のレベルが下がったと言われることも多いようですね。

法治国家にとって司法制度の弱体は致命的な問題です。

外部の専門家の意見は、最大限尊重してほしいものです。

 

続いては、22日(水)に開催された文部科学委員会

こちらでは、これも提出済みの「独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律案」が審議されました。

この法律案の一番のポイントは、奨学金制度の見直しです。

奨学金をもらったはいいが、社会人になってから奨学金の返済に追われて生活に困窮するという事例が増えていることから、奨学金制度の在り方そのものを見直そうというものです。

法律案の内容については、日本共産党から受給条件の緩和などを盛り込んだ一部修正が提案されたようですが、最終的には原案通りということで全会一致で可決されました。

こちらは近いうちに衆議院本会議で可決の上、参議院に送られると思われます。

 

外務委員会では、22日(水)に、アメリカ、オーストラリア、イギリスの各軍との間で、互いに後方支援をしたり軍事用備品を融通し合ったりする条約の締結について審議が行われました。

こちらは15日(水)から断続的に審議されていたもので、22日(水)をもって、自民・公明・維新の賛成多数で条約を締結すべきものとして承認されました。

後方支援の在り方など、細かいところでいささか不安も無いではない条約ですが、昨今の国際情勢を鑑みても、最も信頼できる3か国とこの種の条約を締結しておくことは、国益という観点から疎かには出来ないと思います。

 

他にもいくつかの委員会が開催されていますが、具体的に法案や条約の内容について審議が行われたのは、以上でした。

 

平成二十九年度予算案 成立!

もはや「森友学園問題」一色となってしまった国会ですが、なんと昨日、参議院で平成二十九年度の一般・特別・政府関係機関の3予算案が成立しました。

 

つくづく「ちゃんと中身確認した?」と言いたくなるような展開で成立してしまいましたが、まあ新年度ももうすぐ始まる状況なので、このまま成立しないというのはそれなりに具合が悪いので、とりあえず成立自体はめでたいことではありますが・・・

 

ところで、この予算案と一緒に、かけこみのように成立した法案があります。

それが「駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案

です。

これは元々、沖縄をはじめとする在日米軍の再編を支援するために作られた特別法で、実は今年で期限が切れてしまう法律でした。

しかし、ニュースでもご存じのとおり、米海兵隊普天間から辺野古への移転が揉めに揉めてなかなか進まないため、さらに10年延期してしまおうというのが、この改正案の趣旨です。

 

国会は相変わらず混乱の極みですが、国の政策諸々はいつの間にやら進んで行っているようで。

 

それはそれで、怖いような気がします。